こんにちは。やなか信人です。
本日(1/14)白雪の舞うなか、さいたまスーパーアリーナで行われた「さいたま市成人式」に出席いたしました。
私は「最年少の浦和区選出市議」を常日頃の謳い文句としているものの、懐かしき友人たちと参加した、埼玉会館での旧浦和市の成人式から四半世紀。会場の華やかさ、式典の盛大さに目を見張ります。
さて若き日の船出といえば、ジョン万次郎(中浜万次郎)が真っ先に頭に浮かびます。
彼は幕末から明治にかけての開国期に、世界の風に触れた 同じ土佐生まれの坂本竜馬とともに語り継がれています。
彼の半生記では、青少年時代の先入観や思い込みのない柔軟な心が、未知のものに触れることで闊達に成長していく様子を感じとることができます。
それはまるで魚が水を得たときのような、生き生きとしたものです。
文芸評論家の桶谷秀昭さんは「椿と花水木」(津本陽)の解説で、「未知の世界に挑む旺盛な意欲」と表現しています。
船の遭難は彼にとって避けられない出来事でした。
しかしいつの時代でも、未知のものにチャレンジする機会を得、乗り越えていく力を得るには、旺盛な意欲(好奇心)と、大きな勇気が必要です。
次に、仲間の漁師たちと一緒に故郷に帰る旅費として大金が必要でした。
困難を乗り越え、最後まで成し遂げた原動力は、ふるさとへの思いと彼らへの責任感だったのではないか、と思います。
結果として、命がけの働きながらの留学体験になったわけですが、彼自身の本来もっていた快活さや聡明さが「この少年に勉強する機会を与えようと思った」船長の心を動かし、さらに善意、寛容といった良きアメリカの気質(精神性)にも支えられました。
彼の得たものは語学的には船の上での「2年間での簡単な読み書き能力」だったかもしれませんが、国際交流の過程で得た人格形成過程そのものが、本当の宝でした。
そして彼を助けたホイットフィールド船長一家との海を越えた「良き隣人」関係も後世に遺しました。今の日本にはこういった、国境を感じさせない人と人との心の交流が何よりも必要とされているのではないでしょうか。
小説家の山本一力さんは、これらの出来事を今まさに起きているかのようなみずみずしい文章で書きあげており、昨年末には3冊目の望郷編が発刊されております。
さいたま市図書館にも蔵書がありますので、ご興味のある方はリクエストをお勧めします。
今朝の社説には「厳しい状況だからこそ、若い力への期待は大きい」(読売)とありました。まさに、その通りです。
私も一足早く大人になったひとりとして、世界の広さを知る機会をつくるような、若者の挑戦の場を提案してまいりたい、と考えております。
※参考文献
ジョン・マン 大洋編 山本一力(講談社)
「民際人」中浜万次郎の国際交流 鶴見俊輔(ラボ教育センター新書)
津本陽歴史長編全集 第18巻(椿と花水木) 津本陽(角川書店)